意識に届く植物の力

アロマオイルなんて、ただの嗜好品、
そう思っていた私が、精油に出会ったのは2016年のことでした。

その時、アメリカのコロラド州に住んでいた私は、人生でとても辛い時間の中にいました。
すべての扉が閉じられて、考えることも、何かを美しいと感じることもできないような時間でした。

滞在していたアリゾナで、友人に勧められて、気乗りしないまま行った精油の会社で初めて精油の香りを嗅いだ時、不思議な経験をしました。
あくまでも、私の体験として起こった事ですが、植物全体の意識が、突然にはっきりとして感覚として自分の中に入ってきたのがわかったからです。

そこで感じた感覚は

”自分は一人じゃない”

理由よりも以前に、そのことが圧倒的な事実として胸の中に入ってきた私は涙を拭うこともせず、その場所でポロポロと泣いていました。

癒しは、そんなふうに…ふと訪れます。

それは、特別なものではなく植物が存在するのと同じように、いつもそこにあるものです。
元気な時には、自然を感じる心地よさとして落ち込んでいる時にはもっと明確に、癒しとして、私たちに働きかけてくれます。
その体験は私にとってとても印象深いものになり、アロマセラピーって、一体植物の力ってなんだろう？
そう考え、精油との関わりが始まりました。

そして、アロマセラピーを仕事にするようになってからも、人は、自分が思うよりもずっと強く香りに反応することを見てきました。
メディカルアロマの視点から見ると、精油の芳香成分の中に、心を落ち着かせる成分がある事、そこには科学的な根拠がある事がわかります。
でも、それだけでは説明しきれないほど、香りと意識の世界は密接に結びついています。

香りを嗅いだ時に瞬時に起こる、扁桃体による好き嫌い、快と不快の反応だけではありません。
ずっと嗅いでいたくなるような大きな存在に抱かれて落ち着く安心感、地球の叡智。
そういう目に見えないものを感じる力が人にはあります。
そこに、人は癒しを感じるのです。

そう考え、思いを巡らします。

香りに反応した自分から、結果的に、自分の内面に意識が向いていく。
それはごく自然な流れです。

自分にぴったりな精油を芳香成分の薬効やその方の状態を見ながら、推測して、必要なものを選ぶ。
精油に含まれる芳香成分の働きで心身の不調をケアをする。
言葉では説明し難い感覚を感じて、自分の感受性が開くのを感じて、メンタルを整えていく。
その精油の力に加えて、香りと心の結びつきを紐解いて、心でおこっていることを、専門家と一緒に整理することができたら、今苦しんでいる人に、より具体的な支援ができるのかもしれない。
そう感じて、アロマセラピー×心理カウンセリングのメニューを作りました。

心理カウンセリングというと、何だか難しく考えられてしまうけれど、きちんと学びと実践を重ねてきたプロの臨床心理士の力で今の自分の状態や怒っている出来事、悩んでいる関係性の構造を、客観的に考えることができたなら…
そして、今の自分に必要なものに気がついたなら、それは、次の選択をする大きな力になる。

もし、さまざまなことが複雑に絡まってしまって、動けないならば、心の交通整理をきちんとしてみることは、1つの手段かもしれません。
それを知り、そこから一歩踏み出そうとした時、精油は力強い伴奏者として、そばにいてくれます。

そして、施術家としての視点から、

身体のチカラ
これも、私達にとって大切なものだと実感しています。

身体が変わった時に、何がやろうという意識が起こること
それを何度も体験してきました。

安心して人に身体を触ってもらうこと
安心して人の身体を触ること

そこに流れるものを感じて欲しい。

植物の力を感じられる

植物は、そういう時に、確実に人に働きかける力を持っているから。
その植物の想いは、もしかしたら、大変な時だからこそ、感じられるものなのかもしれません。
それを感じられるあなただから、感じている世界、観ている世界が必ずあります。

アロマセラピーも、心理カウンセリングも身体に働きかける施術も、どれも素晴らしいけれど、

大切なのは…

それ自体が自分を変えてくれるわけではないということ。

精油を使ったからといって、全てが変わることなんてない。
そして、心の事がわかったとしても、全てが上手くいくわけではありません。
問題がないことが良い人生ということでは決してありません。

たくさんの出来事の中。
それでも、選択をする。
自分の思いを軸にして。

計算や考え方だけでは成り立たないのが、私たちの生きてる世界。
不完全で不安定な世界を不完全な私達が互いに補完しながら、進んでいく。
自分の想いを頼りに。
それが生きるという事なのかもしれません。